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五〇〇円が加古川を変える

by OKAMOTO, Atusi

 東播磨未来一〇〇人会議というのがきょう加古川市が開催され、加古川市の未来をになう活動をしている一人としてお呼びいただいたので、朝市について五分間のスピーチとワークショップをした。

 朝市は年末から調子がいいのである。冬なのに暖かくて出かけるのに好都合な小春日和が年末から年始になっても多かったし、そもそも薪ストーブをガンガン焚きまくっているし、商品も冬はおいしいものが多い。

 オープンデパート朝市の目玉といえば、リンゴ、いももち、カキ(海の)あたりが例年の人気商品なのだが、ことしはリンゴもさらに多品種を季節のうつりかわりに合わせてそのときどきに旬になる品種を仕入れるようにした。カキは中毒性が高い食べ物なので(マジに中毒つまりアタることもある)、冬シーズンになると毎週殻付きの焼きガキが加古川でできるというのはじょじょに固定客が増えてくる。

 その朝市について以下のようなお話をしたので投稿しておく。現地に来れなかったかたはこちらでごゆっくりどうぞ。

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「五〇〇円が加古川を変える」

 昨年日本代表が大活躍したラグビーワールドカップ。大会出場国のなかに聞き慣れない国がいくつかあったのを覚えてますか。

 三カ国。フィジー、サモア、トンガですね。大平洋の島国ですのでどこにあるかはっきりわかんないとおもいます。わたしも分かりません。

 で、驚くなかれこれらの世界の最強豪国の一角をしめる三つの国なんですが、フィジーはじつは国民が九〇万人しかいません。サモアは二〇万人、トンガはなんとたった一一万人なんです。首都の人口じゃなく国の人口がですよ。

 加古川の人口をご存じですよね。二六万四三六四人。先月一月の数値です。サモアやトンガより圧倒的に多い。さらには日本の県庁所在地を見てみましょう。もっとも人口が少ないのは山梨県甲府市の一八・八万人、そのつぎは鳥取市一八・九万人、山口市一九・五万人、松江市二〇・三万人と続きます。ずーっといきまして四〇位の福井市二六・二万人までは加古川市より人口が少ないんです。

 知ってました?

 わたしは生まれも育ちも加古川で、大阪、京都、マニラと移り住んでまたこの街に戻ってきました。加古川っ子といっていいでしょう。しかしこれまで

「加古川にはなにもない」

「おもしろくないベッドタウン」

「チェーン店ばっかり」

なんてなんども聞いてきました。たしかにそう、べつに取り立ててなにもない。鶴林寺とカツメシくらい。あとは殺人事件がよく起きる(泣)

 しかしちょっと想像していただきたいんです。サモアやトンガの人たちが

「サモアはなんもねえ」

「トンガはつまんねえチェーン店ばっかり」

とか言ってるとおもいます?ぜったい言ってませんよね。みんなふるさとに誇りを持っているはずですし、

「サモアっていい国なんだろうね」

「へへ。最高だね」

ってなってるはずだ。少なくとも

「加古川ってどんなとこですか」

「いやぁ、とりたててナンもないとこで……」

みたいに情けないことにはなってないと思います。

 じゃあなぜこの街がイマイチか。みなさんに訊きたいのは「誰かが何かをやってくれるのを待っていませんか?」ということです。

 わたしはもはや待っていられなくなったんですね。先月四五歳になりまして、なにかやらなくちゃいけない、では何をやるか?

 世界の国々を旅するなかで、この町が誇りを持つために足りないものを見つけました。それが市場です。昔はどこにでもあった、にぎやかな地元ならではのものを売ってる場所。世界にはどこにでもあるのに加古川にはなくなってしまった。

 これを復活させます。いま株式会社ムサシはその名も「地域振興課」っていう役場みたいな名前の部署を作って毎週土曜日に朝市を開いています。赤字を出しながら突っ走っています。突っ走りすぎて昨年は一〇〇〇万円使いました。ブレイクするかその前に会社の金庫が空になるかの勝負です。

 そこでみなさんにお願いしたいのが、「いつもより一〇〇円高い野菜を買ってください」ということです。

 たとえば今年は暖冬で育ちすぎちゃってキャベツが安い。これをスーパーなら一〇〇円で買えるとしたら、二〇〇円の地元産の新鮮でおいしいキャベツを買ってくださいということです。

 兵庫県民は一人あたり年間五玉のキャベツを食べています。つまり年間あと五〇〇円なんです。ちっぽけでしょ。それだけで生活に困る人はあまりいないんじゃないかと思います。

 ところが農家にとっては一〇〇円か二〇〇円かは生きるか死ぬかの瀬戸際なんです。収入が倍になるんですから。

「とはいえ、野菜なんてまあ安いほうがいいよね」

って分かるんですよ。じつによく分かる。でも一〇〇円を出さない人が一〇人や一〇〇人ならいいんですよ。それが二六万四三六四人あつまると、加古川の農家は生活できなくなり、加古川はつまらない街になるんです。

 売ってなかったら買えませんが、毎週開催する市場はすでにわれわれが用意しました。だからみなさんにお願い。できる範囲で地元の野菜を朝市で買ってほしいんです。美味しいんですよ。収穫したその日や翌日に食べることができますからね。遠くから運んでくると、冷蔵したって三─五日は平気でかかるんです。

 きょういらっしゃってるかたは加古川でもそうとう社会に関心の高いかたばかりだとおもいます。きょうは雨風がひどくて朝市は残念ながら中止したんですが、来週、加古川公設市場での朝市でぜひお目にかかりましょう。ありがとうございました。

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